残留農薬の深刻な問題が発生しておりますが、わが国だけで解決できない問題があり、国内で取り扱う企業だけでなく、海外に生産拠点を有する企業も真剣に対処する時期になったようです。
農産物・食資源の安定生産、病虫害の防除、品質の維持、農作業の軽減などのためには、ある程度の農薬の使用が避けられません。ため、食品中に残留する農薬の安全対策は重要な課題となっています。
また、食資源の国際化にともない、国際的に流通している食品の残留農薬の許容限度についての国際基準を作成する作業が進められているようです。わが国では農業に使用される全ての農薬は、農薬取締法によって登録が義務付けられ、農薬安全使用基準の遵守が定められています。残留農薬基準は薬事・食品衛生審議会で検討され、食品衛生法に基づき施策が行われるそうです。
さて、残留農薬について考えてみたいのですが、まず残留農薬というのは、食物に残った農薬にのことです。食品衛生法では、農薬取締法で定義される農薬に加えて飼料添加物や動物医薬品についても、その残留量が基準を超えてはならないと定められているそうです。特に別の定めがない場合には、厚生労働大臣の定める残留基準は0.01ppmとされており、これは一律基準と呼ばれているそうです。農薬の残留基準は作物の種類ごとに定められていますが、これは少量しか摂取しない作物と大量に摂取する作物とでは、残留濃度が同じでも体内に取り込む量が異なることや、調理の仕方によって取り除かれる割合が異なることなどによります。
残留基準を定めるには動物実験を行って一日摂取許容量を決定するなど、多大な時間とコストがかかるため、あらゆる作物に残留基準を定められないのが現状のようです。基準値を超えた残留農薬が検出されて問題となるケースでよくあるのは、その作物に適用のない農薬(無登録農薬)がドリフト(農薬散布時に発生する目的外の作物への飛散のこと)などによって付着してしまったという例があるようです。この場合、残留していた量が適用のある作物で定められた残留基準に満たなくても、適用のない作物では一律基準が用いられるため、安全性とは無関係に基準値超過となつしまうことがあるそうです。
特に最近の中国製農水産物で問題になっている輸入作物の残留農薬の検査は、通関地の検疫所の判断により実施されるようですが、残留基準値を超えた農水産物等は食品衛生法違反として、回収され廃棄処分されるそうです。また、検疫所の輸入食品・検疫センターまたは検査課で、実施されたモニタリング検査により残留基準値を超える農薬が検出された場合は、その後、同じ輸出国からの同じ農水産物等については、食品衛生法により当局より検査命令が出される場合が多く、その場合はすべての当該輸入貨物について厚生労働大臣の指定検査機関で検査が実施されるそうです。